Jablogy

Sound, Language, and Human

music

スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール――音楽と言語から見るヒトの進化』

歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化作者:スティーヴン ミズン早川書房Amazon 【書誌情報】 ミズン,スティーヴン 2006 『歌うネアンデルタール ―― 音楽と言語から見るヒトの進化』 熊谷淳子訳,早川書房 (原書: Mithen, Steven. 2005 The …

ハワード・S・ベッカー『完訳アウトサイダーズ――ラベリング理論再考』

完訳アウトサイダーズ作者:ハワード・S・ベッカー現代人文社Amazon 【書誌情報】 ベッカー,ハワード S. 2011『完訳アウトサイダーズ ―― ラベリング理論再考』 村上直之訳,現代人文社 (原著:Becker, Howard Saul. Outsiders: Studies in the Sociology o…

ケニー・ワーナー『エフォートレス・マスタリー――あなたの内なる音楽を解放する』

エフォートレス・マスタリー ~あなたの内なる音楽を解放する~作者:ケニー・ワーナーヤマハミュージックエンタテイメントホールディングスAmazon 【書誌情報】 - ワーナー,ケニー 2019『エフォートレス・マスタリー――あなたの内なる音楽を解放する』藤村奈緒…

大谷能生『平成日本の音楽の教科書』

平成日本の音楽の教科書 (よりみちパン! セ)作者:大谷能生発売日: 2019/05/15メディア: 単行本(ソフトカバー) 大谷能生『平成日本の音楽の教科書』よりみちパンセシリーズ,新曜社,2019年 ジャズミュージシャンにして批評家の著者が平成の30年間に出版さ…

トマス・トゥリノ『ミュージック・アズ・ソーシャルライフ ―― 歌い踊ることをめぐる政治』

ミュージック・アズ・ソーシャルライフ―歌い踊ることをめぐる政治作者: トマストゥリノ,Thomas Turino,野澤豊一,西島千尋出版社/メーカー: 水声社発売日: 2015/08/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 【書誌情報】 Turino, Thomas. 2008 Music as…

冨田恵一『ナイトフライ ―― 録音芸術の作法と鑑賞法』

ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法作者: 冨田恵一出版社/メーカー: DU BOOKS発売日: 2014/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る ドナルド・フェイゲンの名盤《The Nightfly》を70年代~80年代のトレンドの中に位置づけつつ,全楽曲の…

ニューオーリンズ・ジャズにおけるトランペッターの役割り

www.youtube.com またまた Jazz at Lincoln Center's JAZZ ACADEMY の動画が興味深かったのでポイントをいくつかメモ。 ニューオーリンズスタイルにおいて、トランペット奏者の役割りは交通整理の警官、あるいはクォーター・バックのようなもの。演奏時間の…

沈黙は金

Modern Drummer のウェブ記事を読んでいて、よい言葉があったので訳して紹介したい。 2.全く知らない音楽スタイルをこき下ろすべからず なにか特定の音楽スタイルをダメだという人は、実際にはそう口にすることで、そのスタイルについて何も知らないというこ…

Let Freedom Ring

アメリカでは二月はBlack History Month 黒人歴史月間になっている。それにちなんで有名なマーティン・ルーサー・キング JR. のスピーチ "I Have a Dream" (1963) を精読してみた。感想をいくつかメモしておきたい。 レトリック的な特徴としては次の4点が上…

伝統的なドラムスティックの型番の意味

ドラムスティック売り場に行くと、いろんな数字やアルファベットの型番がついた、多種多様な製品が売られている。初心者だとすぐには把握しきれないほどだ。 だが慣れてくると、その多様な中にも、わりと共通して使われている数字と文字の組みあわせがあるこ…

講座動画 "The Origins of Jazz" メモ

Jazz at Lincoln Center's JAZZ ACADEMY による初期ジャズの解説動画を見た(といっても映像はキュレーターの人が喋ってるだけだけれど)。 内容的にはジャズ史の本を読んだことがあればだいたい書いてあるような感じだったが、いくつか興味を惹かれる点があ…

「コードは押えられるんだけど……」という人のための理論書

(追記)『本当にオススメのBEST10』音楽理論を学べる書籍・サイト - NAVER まとめ 上の音楽理論書をまとめて紹介した記事が結構ブクマを集めていた。 とてもよいレコメンドだろうと思うけれど、鍵盤奏者向けな傾向はあるかもしれない。 クラシックピアノ経験…

My First Impression of Juke/Footwork

ここ数日、Twitterでフォローしている @mirgliPilgrim さんが最近アップした Juke のリズムを解説する記事が結構な注目を集めている。 ジュークって一体何なのさ!? 16ビートから見たドラムンベース、ダブステップ、ジュークの違い - What a Wonderful World …

大友良英『MUSICS』

MUSICS作者: 大友良英出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/06/27メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 43回この商品を含むブログ (38件) を見る 聴取やフリージャズ、即興などをテーマに大友良英の音楽観をかたった講演や記事をまとめた本。人として、ミ…

感じることなき「わざ」

Twitterを見ていたら美学的な興味深い話題が流れてきたのでつられてつぶやいたのをまとめてみる。 感覚できない芸術家/職人 後輩が「耳の聞こえない作曲家や目の見えない画家は有難がられるのに、匂いの分からない調香師や味の分からないラーメン屋って言わ…

ヤマノススメOP「夏色プレゼント」アナライズ

かわいいキャラデザ、実力ある声優さんたちの好演、美しい背景美術で登山の楽しみを描く「ヤマノススメ」、とても楽しく拝見しています。 OP曲もすごくいいのでご紹介&アナライズしてみます。 クレジットはこちら: ヤマノススメセカンドシーズンOP主題歌 …

NPRでの日本におけるジャズの歴史解説

How Japan Came To Love Jazz : A Blog Supreme : NPR 上の記事が面白かったのでメモを箇条書きで残してみる。 戦前から戦後すぐくらいまでを扱った書籍は結構あるけど、現在までを通史的に扱う視点にはあまり触れてこなかったので新鮮だった。 以下メモ。 1…

「グルーヴ」概念の変遷

フミカレコーズ仲間のやおきさんが「グルーヴ」という言葉がマジックワード的で問題があるのではということで、次のエントリをアップされていたので、語源からどのような変遷があったのかざっと調べてみた。 【レビュー】大谷能生「二つになる一つのもの(グ…

デイヴ・トンプキンズ 『エレクトロ・ヴォイス』

エレクトロ・ヴォイス 変声楽器ヴォコーダー/トークボックスの文化史 (P-Vine Books)作者: デイヴ・トンプキンズ,新井崇嗣出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク発売日: 2012/05/18メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見…

『DAIM append』感想

しま et al. 編著 2013 『DAIM』 Append、2013冬、DAIM、http://c-daim.tumblr.com/append ウェブ上の無料音楽をレヴューするサイトDAIMの同人誌版第二弾*1。 全96ページ、参加人数は編集後記にあがっている人だけでも27人と「薄い本」にしては量的にマッシ…

賢くなるための本を読む――『ネット・バカ』『実践・論理思考トレーニング』『外国語学習の科学』

速くも一月がもう終わろうとしていますが、一月はなんだかんだで一年最初の月、これから残り11ヵ月をより充実して過ごすための基礎知識を増進しようと、3冊ばかり読んでみました。 まずはこれ。 『ネット・バカ』 ネット・バカ インターネットがわたしたちの…

Footwork - 英語版Wikipediaより

最近身近な人たちの間で、Juke / Footworkというダンス・ミュージックがしばしば話題になっています。 まだあまり知られていないジャンルですが、日本語での紹介は次のようなものがあります。 話題のニュージャンル「Juke/Footwork(ジューク/フットワーク)…

ジャン=ジャック・ナティエ 『音楽記号学』

音楽記号学作者: ジャン=ジャックナティエ,足立美比古出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (9件) を見る Nattiez, Jean-Jacques. 1987 Musicologie Générale et Sémiologie. Paris : C. …

パクリ論の前進のために

先日、「よいこの盗作問題入門(aikoマラソンは一回お休み)」というエントリが上がったのをきっかけにすこしTLで話題になっていたので少々メモを。この問題についてはポピュラー音楽研究者の増田聡が優れた論考を書いていますが、目下、読書会を計画中の『…

Alexader Stewart “‘Funky Drummer’”

【書誌情報】 Stewart, Alexader. (2000). “‘Funky Drummer’: New Orleans, James Brown, and the Rhythmic Transformation of American Popular Music.” Popular Music vol.19, No.3, pp. 293-318.大和田俊之『アメリカ音楽史』で言及されていたのをきっか…

井手口彰典『同人音楽とその周辺』

同人音楽に関するほぼはじめての学術書であり、ボカロも扱われているということで注目していた本書をようやく一通り読み終えました。同人音楽とその周辺: 新世紀の振源をめぐる技術・制度・概念作者: 井手口彰典出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/02/22メ…

シノハラユウキ「轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論」へのコメント

やおきさんのエントリ、【シノハラ初め】「音色の話」(Togetter)からピックアップ(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!に釣られて、目は通したけどちゃんと読んでなかったシノハラユウキ氏のねとかるへの寄稿、轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論を読…

JASPMワークショップ「ポピュラー音楽の美学と存在論 : 今井論文をめぐるオープン・ディスカッション」UST中継の感想

日本ポピュラー音楽学会のワークショップがUSTで中継されていたので視聴させていただきました。中継してくださった八田真行さん(@mhatta)*1ありがとうございました。自分用の記録も兼ねて公開されている関係資料をまとめておきます。 議論の元になった今井…

村井康司 『ジャズの明日へ ―― コンテンポラリー・ジャズの歴史』

『スイングジャーナル』や『ジャズ批評』で活躍されている(た)ジャズ批評家村井康司による60年代〜現代までのフュージョンやコンテンポラリー・ジャズをジャズ史として位置づけようという挑戦的な一冊。ジャズの明日へ―コンテンポラリー・ジャズの歴史作者…

高橋健太郎 『ポップミュージックのゆくえ ―― 音楽の未来に蘇るもの』

本書は、twitterやtogetterでもおなじみの音楽評論家、高橋健太郎が1991年時点での「これからのポップミュージックに対して持っているビジョンを表現することに重きを置いて」(あとがき、p. 216)書き下ろしたした評論集を2010年にアルテスパブリッシングが…