読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Jablogy

Sound, Language, and Human

music

冨田恵一 2014『ナイトフライ ―― 録音芸術の作法と鑑賞法』DU BOOKS

ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法作者: 冨田恵一出版社/メーカー: DU BOOKS発売日: 2014/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る ドナルド・フェイゲンの名盤《The Nightfly》を70年代~80年代のトレンドの中に位置づけつつ,全楽曲の…

ニューオーリンズ・ジャズにおけるトランペッターの役割り

www.youtube.com またまた Jazz at Lincoln Center's JAZZ ACADEMY の動画が興味深かったのでポイントをいくつかメモ。 ニューオーリンズスタイルにおいて、トランペット奏者の役割りは交通整理の警官、あるいはクォーター・バックのようなもの。演奏時間の…

沈黙は金

Modern Drummer のウェブ記事を読んでいて、よい言葉があったので訳して紹介したい。 2.全く知らない音楽スタイルをこき下ろすべからず なにか特定の音楽スタイルをダメだという人は、実際にはそう口にすることで、そのスタイルについて何も知らないというこ…

Let Freedom Ring

アメリカでは二月はBlack History Month 黒人歴史月間になっている。それにちなんで有名なマーティン・ルーサー・キング JR. のスピーチ "I Have a Dream" (1963) を精読してみた。感想をいくつかメモしておきたい。 レトリック的な特徴としては次の4点が上…

伝統的なドラムスティックの型番の意味

ドラムスティック売り場に行くと、いろんな数字やアルファベットの型番がついた、多種多様な製品が売られている。初心者だとすぐには把握しきれないほどだ。 だが慣れてくると、その多様な中にも、わりと共通して使われている数字と文字の組みあわせがあるこ…

講座動画 "The Origins of Jazz" メモ

Jazz at Lincoln Center's JAZZ ACADEMY による初期ジャズの解説動画を見た(といっても映像はキュレーターの人が喋ってるだけだけれど)。 内容的にはジャズ史の本を読んだことがあればだいたい書いてあるような感じだったが、いくつか興味を惹かれる点があ…

「コードは押えられるんだけど……」という人のための理論書

(追記)『本当にオススメのBEST10』音楽理論を学べる書籍・サイト - NAVER まとめ 上の音楽理論書をまとめて紹介した記事が結構ブクマを集めていた。 とてもよいレコメンドだろうと思うけれど、鍵盤奏者向けな傾向はあるかもしれない。 クラシックピアノ経験…

My First Impression of Juke/Footwork

ここ数日、Twitterでフォローしている @mirgliPilgrim さんが最近アップした Juke のリズムを解説する記事が結構な注目を集めている。 ジュークって一体何なのさ!? 16ビートから見たドラムンベース、ダブステップ、ジュークの違い - What a Wonderful World …

大友良英『MUSICS』

MUSICS作者: 大友良英出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/06/27メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 43回この商品を含むブログ (38件) を見る 聴取やフリージャズ、即興などをテーマに大友良英の音楽観をかたった講演や記事をまとめた本。人として、ミ…

感じることなき「わざ」

Twitterを見ていたら美学的な興味深い話題が流れてきたのでつられてつぶやいたのをまとめてみる。 感覚できない芸術家/職人 後輩が「耳の聞こえない作曲家や目の見えない画家は有難がられるのに、匂いの分からない調香師や味の分からないラーメン屋って言わ…

ヤマノススメOP「夏色プレゼント」アナライズ

かわいいキャラデザ、実力ある声優さんたちの好演、美しい背景美術で登山の楽しみを描く「ヤマノススメ」、とても楽しく拝見しています。 OP曲もすごくいいのでご紹介&アナライズしてみます。 クレジットはこちら: ヤマノススメセカンドシーズンOP主題歌 …

NPRでの日本におけるジャズの歴史解説

How Japan Came To Love Jazz : A Blog Supreme : NPR 上の記事が面白かったのでメモを箇条書きで残してみる。 戦前から戦後すぐくらいまでを扱った書籍は結構あるけど、現在までを通史的に扱う視点にはあまり触れてこなかったので新鮮だった。 以下メモ。 1…

「グルーヴ」概念の変遷

フミカレコーズ仲間のやおきさんが「グルーヴ」という言葉がマジックワード的で問題があるのではということで、次のエントリをアップされていたので、語源からどのような変遷があったのかざっと調べてみた。 【レビュー】大谷能生「二つになる一つのもの(グ…

デイヴ・トンプキンズ 『エレクトロ・ヴォイス』

エレクトロ・ヴォイス 変声楽器ヴォコーダー/トークボックスの文化史 (P-Vine Books)作者: デイヴ・トンプキンズ,新井崇嗣出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク発売日: 2012/05/18メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見…

『DAIM append』感想

しま et al. 編著 2013 『DAIM』 Append、2013冬、DAIM、http://c-daim.tumblr.com/append ウェブ上の無料音楽をレヴューするサイトDAIMの同人誌版第二弾*1。 全96ページ、参加人数は編集後記にあがっている人だけでも27人と「薄い本」にしては量的にマッシ…

賢くなるための本を読む――『ネット・バカ』『実践・論理思考トレーニング』『外国語学習の科学』

速くも一月がもう終わろうとしていますが、一月はなんだかんだで一年最初の月、これから残り11ヵ月をより充実して過ごすための基礎知識を増進しようと、3冊ばかり読んでみました。 まずはこれ。 『ネット・バカ』 ネット・バカ インターネットがわたしたちの…

Footwork - 英語版Wikipediaより

最近身近な人たちの間で、Juke / Footworkというダンス・ミュージックがしばしば話題になっています。 まだあまり知られていないジャンルですが、日本語での紹介は次のようなものがあります。 話題のニュージャンル「Juke/Footwork(ジューク/フットワーク)…

ジャン=ジャック・ナティエ 『音楽記号学』

音楽記号学作者: ジャン=ジャックナティエ,足立美比古出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (9件) を見る Nattiez, Jean-Jacques. 1987 Musicologie Générale et Sémiologie. Paris : C. …

パクリ論の前進のために

先日、「よいこの盗作問題入門(aikoマラソンは一回お休み)」というエントリが上がったのをきっかけにすこしTLで話題になっていたので少々メモを。この問題についてはポピュラー音楽研究者の増田聡が優れた論考を書いていますが、目下、読書会を計画中の『…

Alexader Stewart “‘Funky Drummer’”

【書誌情報】 Stewart, Alexader. (2000). “‘Funky Drummer’: New Orleans, James Brown, and the Rhythmic Transformation of American Popular Music.” Popular Music vol.19, No.3, pp. 293-318.大和田俊之『アメリカ音楽史』で言及されていたのをきっか…

井手口彰典『同人音楽とその周辺』

同人音楽に関するほぼはじめての学術書であり、ボカロも扱われているということで注目していた本書をようやく一通り読み終えました。同人音楽とその周辺: 新世紀の振源をめぐる技術・制度・概念作者: 井手口彰典出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/02/22メ…

シノハラユウキ「轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論」へのコメント

やおきさんのエントリ、【シノハラ初め】「音色の話」(Togetter)からピックアップ(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!に釣られて、目は通したけどちゃんと読んでなかったシノハラユウキ氏のねとかるへの寄稿、轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論を読…

JASPMワークショップ「ポピュラー音楽の美学と存在論 : 今井論文をめぐるオープン・ディスカッション」UST中継の感想

日本ポピュラー音楽学会のワークショップがUSTで中継されていたので視聴させていただきました。中継してくださった八田真行さん(@mhatta)*1ありがとうございました。自分用の記録も兼ねて公開されている関係資料をまとめておきます。 議論の元になった今井…

村井康司 『ジャズの明日へ ―― コンテンポラリー・ジャズの歴史』

『スイングジャーナル』や『ジャズ批評』で活躍されている(た)ジャズ批評家村井康司による60年代〜現代までのフュージョンやコンテンポラリー・ジャズをジャズ史として位置づけようという挑戦的な一冊。ジャズの明日へ―コンテンポラリー・ジャズの歴史作者…

高橋健太郎 『ポップミュージックのゆくえ ―― 音楽の未来に蘇るもの』

本書は、twitterやtogetterでもおなじみの音楽評論家、高橋健太郎が1991年時点での「これからのポップミュージックに対して持っているビジョンを表現することに重きを置いて」(あとがき、p. 216)書き下ろしたした評論集を2010年にアルテスパブリッシングが…

細川周平 1990 『レコードの美学』 勁草書房

はじめに 日本におけるポピュラー音楽研究の先駆者の一人、細川周平の大著。博士論文を改稿したものとあって、大きなボリュームにもかかわらずロジカルな構成になっていて読みやすいです。レコードの美学作者: 細川周平出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 199…

菊地成孔・大谷能生 2008 『M/D ―― マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究』 エスクァイア マガジン ジャパン

ジャズミュージシャン・評論家の菊地成孔・大谷能生のコンビによる「ジャズの帝王」マイルスの研究本。『東京大学のアルバート・アイラー』に続く東京大学教養学部での講義(2005年)をまとめたものに、その後行なわれたインタビューや雑誌へ寄稿されたエッ…

川田順造 1988 『聲』 筑摩書房 (3)

(2)へ Ⅲ 声と人称 第Ⅲ部では語ることと、そのかたりが帰属する人称・人格の問題が論じられる。前述したとおり私の多重化や非人称化される歌、非・近代社会における個性といったことが取り上げられ、西洋近代的な「我」や「ペルソナ」の概念をアフリカの文…

川田順造 1988 『聲』 筑摩書房 (2)

(1)へ Ⅱ 声によるコミュニケーション 第二部では他者に対し呼びかけることで社会的な関係への参入を引き起こさせるという名前のもつ働きに注目した議論がなされている。筆者としては、このあたりは声や歌の議論よりもむしろ、キャラクターと固有名などの議…

川田順造 1988 『聲』 筑摩書房 (1)

概要 『音・ことば・人間』でも紹介した、西アフリカ・ブルキナ・ファソのモシ族を調査してきた川田順造による、声とそれを使ったコミュニケーションの文化的な側面を考察するエッセイ集で、『現代詩手帖』(思潮社)で1985年3月号から1986年11月号まで連載…

ボカロクリティーク Vol. 01 後半を紹介!

こちらでやおきさんが今度のボーマスで頒布される『ボカロクリティーク』の紹介をしてますが、私も校正をお手伝いしたご縁で原稿を見せていただいていますので、簡単に感想でも述べて宣伝に協力したいと思います。やおきさんも更新で残りを書かれるみたいで…

ワルター・ベンヤミン 1939 「技術的複製可能性の時代の芸術作品 」 (3)

(2)へ、はじめから読む方はこちら(1)へ ■考察 下部構造が上部構造の影響、因果関係の不分明 死に舞さん(@shinimai)も いろんなとこで言ってるけど、ベンヤミンのアウラは認識論的な話と複製に関わる存在論的はなしごっちゃにしているから使えない。 http…

ワルター・ベンヤミン 1939 「技術的複製可能性の時代の芸術作品 」 (2)

(1)へ ■写真と映画 編集(モンタージュ) 技術的複製可能性の時代における芸術の問題としてベンヤミンが意識しているのは、印刷やレコードのプレスによる大量生産によるアウラの減退ということだけではない。むしろ写真や映画のカメラが作品を撮影する事に…

ワルター・ベンヤミン 1939 「技術的複製可能性の時代の芸術作品 」 (1)

■はじめに テキストのベクトル ―― ファシズムに抗して 序言と後書きにおいて、ファシズムの芸術利用に対してオルタナティブとなる共産主義的な芸術のあり方についてベンヤミンは述べている。ナチスやファシズムによる芸術を利用するポリティクス、すなわち政…

小泉文夫は民族音楽学学者なのか?

◆イメージのズレ 「民族音楽」や「日本の伝統音楽」に関心のある人ならだれもが一度は参照する小泉文夫。一般にはテレビなどで「民族音楽」を紹介した仕事で有名ですね。「民族音楽」を研究している人なのだから「民族音楽学者」なのだろうと普通は理解する…

川口千里インタビュー in オールナイトニッポン

7月8日のオールナイトニッポンで女子中学生ドラマー・川口千里さんのインタビューが放送されていました(http://senri350.blog.so-net.ne.jp/2011-07-07、ニコニコ生放送のタイムシフト視聴で一回限り視聴できるようです http://live.nicovideo.jp/watch/l…

大和田俊之 2011 『アメリカ音楽史──ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』 講談社選書メチエ (3)

前の記事(2)へ、(1)から読む方はこちら ■本書をうけての考察 *マーチング 白人と黒人の関係で言えば、私の関心からはまずマーチングや drum corps のことが思い浮かびます。ジャズドラム史またロック史においても、著名なドラマーの多くは黒人白人を問…

大和田俊之 2011 『アメリカ音楽史──ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』 講談社選書メチエ (2)

前の記事(1)へ ■各章のダイジェスト 各章のテーマや興味深いトピックを一言ずつふれるとつぎのような感じです。 第1章 黒と白の弁証法 ―― 擬装するミンストレル・ショウ ミンストレル・ショーにおいてユダヤ系やアイルランド系が「黒人」を することによっ…

大和田俊之 2011 『アメリカ音楽史──ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』 講談社選書メチエ (1)

大和田俊之『アメリカ音楽史──ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』の紹介をしたいと思います。長くなったので3回にわけてお届けします。 ■本書の位置づけ *キーワード について アニメの人気作になぞらえて「今季の覇権」本とすら評され…

木本玲一 2009 『グローバリゼーションと音楽文化』 勁草書房

民族音楽学・音楽人類学的アプローチによって日本にヒップホップ・ラップが「根づいて」いったことを描いた本。すでに死に舞さん*1やinainabaさん*2も紹介を書かれています。内容のあらましをamazonから引用します。 内容紹介 日本におけるラップ・ミュージ…

Vocaloid批評の同人誌に寄稿します

明日開催される文学フリマで頒布される予定の原稿を書き終えました。 声とキャラクターに関して理論的な面と合成音声界隈を概観する、 というような内容になりました。どこでどのように頒布になるかなどわかってないので また追記したいと思います。追記1 …

8ビート・16ビートというリズム概念について

表題のトピックについてtwitterにポストしたことのまとめ。 細部が荒く先行研究もみていないので後々議論を深めていきたいです。ja_bra_af_cubeatとか拍というのは、基礎的なパルスがいくつかあつまって小節というリズムのまとまりを造る際の、その基礎的な…

Bibliography

関心のある本をまとめて欲しいとリクエストを頂いたので、Bibliographyを公開します。 関連性の薄いもの、入手・未入手、既読・未読が混じってますが、思索のためのメモでもありますのでご容赦ください。(2011年9月17日 ver.2.0) 民族音楽学・音楽人類学 M…

UTAUによるキャラクターの「声」の可能性

twtterの方で面白い話になったのでまとめてみました。Hidazou_san2ch某スレ経由、「UTAU音源テスト」。「人間の声と猫の声を合成した」ライブラリ、との事。 ※未配布ですので御注意。 【キメラ音源】ウタウタウ【UTAU】 (3:45) #nicovideo #sm14603070 http:…

輪島裕介 2010 『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』 光文社新書

表題の本のノート。操作ミスでデータが飛んでしまったので再掲です。 やはり手元のエディタに保存しながら編集すべきですね。【第一部】 近代日本大衆音楽史を三つに区分 第一期 レコード会社専属制度の時代(昭和初期[20年代後半]〜30年代[50年代後半]) 第…

川田順造・武満徹 1980 『音・ことば・人間』 岩波書店(同時代ライブラリー [1992])

はじめに このブログのタイトルに書名を流用させていただいた、お気に入りの本をここに紹介したいと思います。本書は西アフリカのブルキナファソをフィールドとする文化人類学者・川田順造と尺八や琵琶を現代音楽にもちこんだ作品で知られる作曲家・武満徹の…

『ユリイカ 2008年12月臨時増刊号 : 総特集♪初音ミク――ネットに舞い降りた天使』青土社

以前Twitlongerに公開したノート。抜き書きとコメントをつけています。 本書全体への感想や考察などはid:sakstyleさんによるまとめ(http://togetter.com/li/139590)をご参照ください。■佐々木渉「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」pp.9-17 ・V…