Jablogy

Sound, Language, and Human

ボカロ100選

静かに盛り上がっているらしいボカロ100選、私もやってみました。 ボカロ100選 ‐ ニコニコ動画(原宿) わりと受動的に聴いてきたライトめのファンである私に、はたして100曲もお気に入りがあるのだろうかと思いましたが、どっこい思い返してみると100くらいは…

「『浮世絵化するJ-POPとボーカロイド』をアメリカ音楽好きはどう読んだか、あるいは僕がレコードを買い続ける理由」への応答

音楽ライター柴那典さんの記事、「浮世絵化するJ-POPとボーカロイド 〜でんぱ組.inc、じん(自然の敵P)、sasakure.UK、トーマから見る「音楽の手数」論」が注目を集め、その内容に対しアメリカ音楽を専門と任じられる評論家・レコード蒐集家の遊井かなめさ…

齋藤俊夫 「想像/創造の共同体としてのニコニコ動画Vocaloidシーン」

【書誌情報】 齋藤俊夫 (2010). 「想像/創造の共同体としてのニコニコ動画Vocaloidシーン」、<柴田南雄音楽評論賞> 奨励賞受賞作、財団法人アリオン音楽財団 柴田南雄音楽評論賞にVocaloidやニコニコを扱ったものがあると知ってチェックしていたのを読ん…

パクリ論の前進のために

先日、「よいこの盗作問題入門(aikoマラソンは一回お休み)」というエントリが上がったのをきっかけにすこしTLで話題になっていたので少々メモを。この問題についてはポピュラー音楽研究者の増田聡が優れた論考を書いていますが、目下、読書会を計画中の『…

小林秀雄 『モオツァルト』

【書誌情報】 小林秀雄 1949 『モオツァルト』 日産書房 近代的な批評の原点として批評を論じた文章ではかならず参照される一冊。フミカレコーズのメンバーとしては必読、というわけで読んでみました。私が読んだのは初版の古いものですが、新潮社の全集など…

マルセル・モース 『贈与論』

【書誌情報】 マルセル・モース 2009 『贈与論』 吉田禎吾・江川純一訳、ちくま学芸文庫 (Mauss, Marcel. 1923 “Essai sur le Don : Forme et Raison de l'Échange dans les Sociétés Archaïques.” L'Annee Sociologique, seconde série.) 贈与論 (ちくま…

araihisaoさん評

Twitterで相互フォローしている@ogatakehikkyさんより「個人的にとても気になる投稿者の方がいて〔……〕恐らく全部自作だろうPV含めてどのように感じられるのか評されるのか、知りたくて」ということで依頼をうけまして、araihisaoさんというVocaloid/UTAU・P…

『フミカ』1.5、超文学フリマ@ニコニコ超会議で頒布

すでにツイッターでもお知らせしましたが、『フミカ』の新刊がニコニコ超会議2内の文系同人誌即売会、超文学フリマで出ます。 イベント名:超文学フリマ 日時:2013年4月28日(日)10時〜17:00 会場: 幕張メッセ(「ニコニコ超会議2」内) アクセス:JR京…

Voca brasileira 『Re-fuga』 ライナーノーツ公開

同人音楽即売会M3-2012秋にて頒布された、サークルVoca brasileiraのアルバム『Re-fuga』に私 ja_bra_af_cu がライナーノーツを寄せていました。近く、2013年4月29日(月・祝)に行われるM3でもこの『Re-fuga』の再頒布と小品の新作が発表になるということで…

『Vocalo Critique』 vol. 05感想

最終刊がすでに発表されているVocalo Critique。vol.05の感想を下書きまでしていたのですが、気になるところをメモしまくっていたらずいぶん長くなってしまい、結果、完成させるのがすっかり遅くなってしまいました。若干今更な感じもありますが、ちょっとで…

Alexader Stewart “‘Funky Drummer’”

【書誌情報】 Stewart, Alexader. (2000). “‘Funky Drummer’: New Orleans, James Brown, and the Rhythmic Transformation of American Popular Music.” Popular Music vol.19, No.3, pp. 293-318.大和田俊之『アメリカ音楽史』で言及されていたのをきっか…

井手口彰典『同人音楽とその周辺』

同人音楽に関するほぼはじめての学術書であり、ボカロも扱われているということで注目していた本書をようやく一通り読み終えました。同人音楽とその周辺: 新世紀の振源をめぐる技術・制度・概念作者: 井手口彰典出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/02/22メ…

英語史入門の本を読んでみた

英語圏の音楽言説をもっと知りたいので、最近英語の学習に力を入れています。英語学習、とくに語彙を増やす上で、語源を調べ、その語の歴史的な変遷を知ると記憶の助けになることが私の体験上わかっているのですが、そうした学習をしようと語源辞典などを調…

2012年ボカロ曲10選を視聴したまとめ

もう1月も半ばを過ぎてしまいましたが、やっと聴こうと決めた分のリストに耳を通し終わったので、ここにまとめておこうと思います。9リスト、ということは(全曲頭から終わりまで聴いたわけではありませんが)、まがりなりにも90曲聴いたわけですねー。なか…

シノハラユウキ「轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論」へのコメント

やおきさんのエントリ、【シノハラ初め】「音色の話」(Togetter)からピックアップ(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!に釣られて、目は通したけどちゃんと読んでなかったシノハラユウキ氏のねとかるへの寄稿、轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論を読…

2012年の活動を省みる

一年の計は元旦にありといいますが、計画だけでなく反省も大事 というわけで簡単に去年立てた目標の反省+今年を振り返ってみたいと思います。はっきりいって立てた目標はかなり計画倒れになってしまったものが多いです。 原因はあきらかに去年の暮に始めた…

2012年のボカロ再生数上位曲について

シュールレアリスムを正しく理解するPが再生数上位曲の伸び傾向などを研究するために作られたリストを私も聞いてみましたので感想を記しておこうと思います。そのリストはこちら 2012年ボカロ曲再生数上位リスト(研究用) 特に面白いと思った曲はTwitterの…

JASPMワークショップ「ポピュラー音楽の美学と存在論 : 今井論文をめぐるオープン・ディスカッション」UST中継の感想

日本ポピュラー音楽学会のワークショップがUSTで中継されていたので視聴させていただきました。中継してくださった八田真行さん(@mhatta)*1ありがとうございました。自分用の記録も兼ねて公開されている関係資料をまとめておきます。 議論の元になった今井…

『フミカ』@文学フリマの編集後記的な告知

すでにtwitterやサークルメンバーのブログからもたくさんの告知が出ていますが、来る18日の日曜日に行われる「文学フリマ」にて音楽批評系同人誌『フミカ』を出します。 目次 VOCALOID UTAU曲クロスレビュー(やおき、ja_bra_af_cu、かじもとさん、まげ=え…

マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

書誌情報: Weber, Max. 1920 “Die protestantische Ethik und der 》Geist《 des Kapitalismus,” Gesammelte Aufsätze zur Religionssoziologie, Bd. 1, SS. 17-206. (ウェーバー、マックス 1989 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 大塚久雄…

『同性愛と異性愛』、『哭きうたの民族誌』、『メイキング人類学』

長年の積ん読を少し崩したので簡単なメモを。 風間孝・河口和也 2010 『同性愛と異性愛』 岩波新書 同性愛と異性愛 (岩波新書)作者: 風間孝,河口和也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/03/20メディア: 新書購入: 5人 クリック: 88回この商品を含むブロ…

小田部胤久『西洋美学史』読書会の補足と余談

@sakstyle氏、@nix_in_desertis氏 、@tieckP、他twitter上で関心を持って下さった皆さんと読書会をしました。西洋美学史作者: 小田部胤久出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/05/27メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 76回この商品を含むブログ (…

『Vocalo Critique』vol. 04感想

中村屋与太郎編 2012 『Vocalo Critique』vol. 04, Jul. 2012、白色手帖かなりのハイペースで刊行されもう第4巻まで来ているVocalo Critique。 ひさびさに感想を書いてみようと思います。もう4巻、パイロットを入れたら5冊目ということもあり、紙面の体裁は…

ボカロ曲紹介の方法

「#皆さんの好きなボカロ曲3曲を晒して」というハッシュタグが流れてきたのをきっかけにジババさん(@JP_Jibaba)と曲紹介についての考え方を意見交換したので、メモがわりにまとめておきます。 別に好きな曲がどんなに有名だってかまわないんだよ。好きな曲…

ブログ外観リニューアル

@magelixirさんのご協力をいただきながらブログのスキンを変更し、CSSをいじってみました。WEB技術には全く素人なのですごくストレスフルな作業でしたが、とりあえず満足できる結果が得られました。まだ細かいところに詰める余地は十分ありますけれど…

2011年の当ブログを振り返る

やおきさんにつられて音楽を語るための場を確保しようと始めたこのブログですが、完全放置になることなく、それなりに記事を書いてくることが出来ました。今年は書評が中心になりましたね。基本的にVocaloid Critiqueに応用することを念頭に、「声」の問題・…

村井康司 『ジャズの明日へ ―― コンテンポラリー・ジャズの歴史』

『スイングジャーナル』や『ジャズ批評』で活躍されている(た)ジャズ批評家村井康司による60年代〜現代までのフュージョンやコンテンポラリー・ジャズをジャズ史として位置づけようという挑戦的な一冊。ジャズの明日へ―コンテンポラリー・ジャズの歴史作者…

佐々木俊尚『キュレーションの時代 ―― 「つながり」の情報革命が始まる』

twitter上などでご活躍のメディア・ジャーナリスト佐々木俊尚氏が「キュレーション」という概念を紹介している本。ボカロや音楽を論じる言葉を考えていく上で有用と思いますので取り上げてみます。キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ち…

高橋健太郎 『ポップミュージックのゆくえ ―― 音楽の未来に蘇るもの』

本書は、twitterやtogetterでもおなじみの音楽評論家、高橋健太郎が1991年時点での「これからのポップミュージックに対して持っているビジョンを表現することに重きを置いて」(あとがき、p. 216)書き下ろしたした評論集を2010年にアルテスパブリッシングが…

てらまっと「ツインテールの天使 ―― キャラクター・救済・アレゴリー」

最近、友人たちの間で話題のてらまっと氏によるけいおん!論読みました。『セカンドアフター』という震災をうけて如何に喪失を引き受け喪の仕事をおこなうかといったテーマを扱った同人誌における、キャラクターによる救済を論じた(英語の意味での)エッセ…