ボカロクリティーク Vol. 01 後半を紹介!
こちらでやおきさんが今度のボーマスで頒布される『ボカロクリティーク』の紹介をしてますが、私も校正をお手伝いしたご縁で原稿を見せていただいていますので、簡単に感想でも述べて宣伝に協力したいと思います。
やおきさんも更新で残りを書かれるみたいですが、まだ書かれていない07以降の分について。
07 VOCALOIDによるデュエット曲の傾向と可能性/アンメルツP
ボーカロイドのデュエットによるキャラクターの組み合わせの妙、それによる萌などを考察。リン・レン、ミク・メグ、ネギ・トロ、などの組み合わせと同じ組み合わせでも様々な曲のバリエーションがあることを描き出す。
08 ラーメンに学ぶボカロPの生存戦略 / パッチワークP
総体としての一楽曲をラーメンにたとえ、麺・スープ・具・暖簾といった構成要素それぞれのクオリティのあり方を吟味している。「テイスト」すなわち感覚や趣味が基本となるのは音楽と料理で共通するのでよい喩えとなっている。
09 神なき時代の「ミクさんマジ天使!」論 / isshy
文化としての初音ミク現象を宗教の社会学的機能と通じるものとして考察。脱魔術化、集団への帰属、儀礼と音楽といった問題が上げられている。自分の言葉をミクが歌うことがカウンセリングにおける自己承認と近似するというのは卓見。
10 地図を読むかのように / VOCALOID聴き専ラジオ NezMozz
ボカロムーブメントの歴史、人や作品を地図・ランドマークに喩えながら、創作と鑑賞にたずさわる人々の熱意を描く。“感謝と熱意”が創作を喚起する点についてissyさんの議論と接続するように思われる。
11 声への欲動―ボーカロイド音楽を聴くこととは何か― / 東葉ねむ
精神分析のアプローチによってミクさんの声の魅力に迫る。ユリイカのミク特集でも中田健太郎が同様の方法をとっていたが、精神分析、特にラカンの枠組みは、声がもつ特有の魅力/魔力を捉えるのに有効だと感じる。