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Jablogy

Sound, Language, and Human

レヴュー: 【VY1】サイバーサンダーサイダー 【オリジナル曲】

はじめに

ボカロクリティーク界隈で各論・作品論がすくないよねー、という話がでています。ニコニコ動画の文化では「ないなら自分で作れ」「言い出しっぺの法則」という格言がありますので、先ず隗より始めよというわけで私もやってみます。

更新は不定期になると思いますが、まずは試みとして。
まねして紹介ブログを始める人が続いてくれたりするとよいのですが。
というわけでさっそくいってみましょう。
今回取り上げるのは「EZFG」さんの《サイバーサンダーサイダー》です。

動画タグ

VOCALOID 音楽 VOCALOID処女作 VOCALOID殿堂入り サイバーサンダーサイダー EZFG VY1オリジナル曲 驚異的な中毒性 スタイリッシュ棒人間 歌ってみろ

概要

サイバーサンダーサイダーは「EZFG」のVY1オリジナル曲である。

それまでカバーやアレンジを作っていた氏にとって初のVOCALOIDオリジナル曲となるが、培ってきた音楽センスを存分に発揮した、スタイリッシュでハイテンポな曲に仕上がっている。曲の魅力だけでなく、黒い画面に白の手書き歌詞、そして時々出てきて踊る小さな棒人形の踊り、とPVとしての完成度も高い。

なお、VY1オリジナル曲としては【VY1オリジナル】HAKUMEI fullver.【日本鬼子イメージソング】以来のVOCALODカテゴリ1位を獲得した。
(ニコニコ大百科http://dic.nicovideo.jp/v/sm15440067)

レビュー

概要がよくまとまっているのでわずかに付け加えるだけで済みそうw

作者のEZFGさんはゲーム音楽のアレンジを投稿してこられた方のようですね。いままでで一番のヒットはドラクエの冒険の書が消えてしまった時の効果音をダンスチューンにリミックスした《それでも ぼうけんが すきだから》(sm10487716)が4万再生overを記録しています(こちらもかっこいい)。

「歌ってみろ」タグが付いていることからもわかるように、タイトルになっている「サイバーサンダーサイダー」というワードの繰り返しが韻律的に面白く、またBPM144の16部音符という速さで、かつ不規則な譜割りになっているため早口言葉的な面白さがあるといえるでしょう。

マイナーキーでImのペダルポイントが続いたり、VIb VIIb Im の王道的な進行が使われたりするかっこいいデジタルロックサウンドと相まって、初期B'zを彷彿とさせます。(《君の中で踊りたい》とか《Bad Communication》とか)

こういうのは聴くのもいいですが、カラオケなどで歌ってみると舌や唇が気持ちいいんですよね。歌ってみたの派生動画が多いのもうなずけます。

動画的に特筆すべきは概要にもある棒人間のダンスでしょう。


歌物では間奏部分というのはなんとなく間延びしてしまうものですが、本動画は棒人間にブレイクダンス系の踊りを踊らせることで、視聴者を楽しませ集中を途切れさせません。流れる歌詞を乗り越えて隙間で踊っているような演出もされたりしていますが、わずか数パターンの書き換えというエコノミーな見せ方でこれだけ面白くできるというのは、個人で動画まで制作する必要のある時代にあって優れたスキルなのかもしれません。

また棒人間の動きがじつにかわいらしく(まったくの記号なのに!)、「共感不可能な対象ほどかわいい」という斎藤環の言葉を思い出します*1(私は必ずしも彼の解釈に肯定的ではないですが)。

この曲はVY1がヴォーカルを取っており、その意味ではキャラクター的な歌ではなく、匿名の誰かが歌っているかのように聞こえますが、キャラクター的なかわいさのアピールはこの棒人間くん*2が担当しているといえるかもしれませんね。

*1:斉藤環 2011 『キャラクター精神分析 ―― マンガ・文学・日本人』 筑摩書房

*2:踊りがカッコイイ系なので、無意識に男性であるかのように言ってしまいましたが、別に性別は決まってないですねw