Jablogy

Sound, Language, and Human

『フミカ』@文学フリマの編集後記的な告知

すでにtwitterやサークルメンバーのブログからもたくさんの告知が出ていますが、来る18日の日曜日に行われる「文学フリマ」にて音楽批評系同人誌『フミカ』を出します。

フミカ表紙 on Twitpic

目次

サークル名前は「フミカレコーズ」。

以上の5人が中心となって音楽批評のあり方を考えるべくトライしています。

いままで出たサークルメンバーによる紹介記事をリストアップしておきます。

『フミカ』について

もうだいぶしっかり紹介されているので内容的に私が付け足すべきところは少ないので、編集後記的に個人的な思い入れというか、立ち位置を述べておこうと思います(立ち上げの経緯は上にリストアップした中のTogetterまとめでやおきも語っています)。

この『フミカ』は「オルタナティブな音楽批評」を目指すという目標を掲げているのですが、何に対して代替的(あるいは補完的)であろうかとしているかというと、すくなくとも私は、従来ある音楽を言語化する様々な媒体・行為――音楽雑誌での批評や2chtwitterでの紹介や雑談その他――がその対象であると捉えています。

よく取り沙汰されるところではいわゆるロキノン的なストーリーの作り方などですが*1、それに限らず音楽にまつわる言葉はかなりクリシェや特定の思考の型にはまりこんでいて、柔軟性にかける場合がしばしば――というにはあまりに頻繁に――あります。

そうした印象を普段目にする言葉から受けていたわけですが、一方で学術的な領域からはそうした固着を解きほぐそうとする見方が現れてきているように思えます。このブログで取り上げたものもそうでないのもありますが、例えば岡田暁生『音楽の聴き方』、『ニュージャズスタディーズ』、大和田俊之『アメリカ音楽史』、輪島裕介『創られた「日本の心」神話』などがあげられるでしょう。中でも私が強く影響を受けているのは増田聡『聴衆をつくる』です(この本はいつかブログで取り上げたいと思います)。

このあたりの問題意識は私の執筆した文章にかなりあからさまに出ていると思います。特に「音楽系同人誌クロスレビュー」ではジャンル・領域によるクリシェ・言説の型に注目して言及しました。「ボカロ曲クロスレヴュー」では一般のレビューでは避けられがちな音楽理論的な・テクニカルな用語をあえて積極的に用い、それがどう表現と連関しているかに注目することで楽曲表現の説明や新たな見方の発見が可能になるような記述を試みました。

また、他ジャンル(特にウェブ上のアマチュアによるそれ)と比較してみても、アニメやマンガ、ゲームには質・量ともに豊かな批評があるのに音楽はそれほどでもなかったりします*2。昨年6月の文フリでフミカレコーズメンバーのやおき・シノハラユウキらとともに今のVocalo Critiqueの前身にあたるコピー誌を作った時も「アイマスこんなに紹介・批評があるのになんでボカロ系はないの?」という思いをもっていました。

幸いなことにVocalo Critiqueは中村屋与太郎(@)さんという強力なプロデューサー・編集者を得て、この一年で内容も充実した6冊が発行され*3筑波大学版ボカクリともいうべき「VocaloImagine」やボカロ曲紹介サイト「DAIM」といった広がりを得ることが出来ました。

『フミカ』もただ私達の側から情報を伝達するだけでなく、音楽を愛する人(やそうでない人も!)が「私も何かひと味ちがう言葉で音楽を知り伝えてみたい」と思えるような、音楽言説における「この指とまれ」になることができたらな、と思っています。

文フリについて

文フリの概要は以下の通り。フミカレコーズのブースは「カ-07、2階のホールに入って左手の壁!」だそうです。

第十五回文学フリマ
開催日 2012年11月18日(日)
開催時間 11:00〜17:00
会場 東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
アクセス 東京モノレール流通センター駅」徒歩1分
一般の方は入場無料です!

文学フリマの注目サークルはサイト『本が好き!Bookニュース』の記事「文学フリマ、今週末開催。注目のサークルはこれだ!」にまとめられていて、我らが『フミカ』も取り上げていただいています。

個人的には『アニメルカ増刊号 反=アニメ批評 2012autumn 特集:アニメと音Ⅱ』が気になります。大谷能生×類家心平×吉田アミ×吉田隆一×高瀬司という豪華メンバーを迎えての『坂道のアポロン』『LUPIN the Third -峰不二子という女-』に関する座談会を筆頭に、アニメにおける音楽の役割について突っ込んで考察した一冊になっているようです。

それから若手批評家中心のRhetorica #01も。『Vocalo Critique Pilot』に参加してくれたまつとも氏やユリイカアニメルカにおける音楽批評で活躍の仲山ひふみさん、成上友織さんが参加しての「キャラクターの条件」に関する座談会。私、気になります!

このような本がでる文学フリマ。批評とか文学とかよくわからないなーという人も、自分の好きな作品とか気になるジャンルに関する深い考察の同人誌などが出るのだと思っていただければよいかも? というわけで、みなさまお誘い合わせの上、文学フリマにお越し下さり『フミカ』をご贔屓にしていただけますよう、よろしくお願いいたします。

*1:例えば「ロッキング・オン的批評に関するメモ書き。」『想像力はベッドルームと路上から』http://d.hatena.ne.jp/inumash/20090624/p1 など

*2:引用がしづらいなどそもそもメディア的にやりにくいのはあるので仕方ない部分もありますが、それにしても。

*3:文フリ当日『フミカ』のブースで『Vocalo Critique』も委託頒布されます。vol. 05にはまげ=えりくさによるUTAU無生物音源論が、UTAU特集号『UTAU CRITIQUE』には私ja_bra_af_cuの楽曲・P・音源レビューが載っています。『フミカ』ともどもよろしくお願いいたしします。