Jablogy

Sound, Language, and Human

ニューオーリンズ・ジャズにおけるトランペッターの役割り

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またまた Jazz at Lincoln Center's JAZZ ACADEMY の動画が興味深かったのでポイントをいくつかメモ。

  • ニューオーリンズスタイルにおいて、トランペット奏者の役割りは交通整理の警官、あるいはクォーター・バックのようなもの。演奏時間の大部分、前もって書かれたアレンジの譜面はなく、リードシートを使って、演奏しながらアレンジがなされていく。そのためのシグナルを出すのがトランペット奏者。
  • 単にメロディーをやってソロを回して、というだけでは退屈になるので、ストップタイム(リズム隊が頭だけユニゾンしてブレイクするあれ。チャールストンや "4-1" なんかの場合も)の部分を作ったりして、飽きが来ないように指揮を執る。
  • こうした指示は、全く会話しないで出されるときもあるし、ただ「ストップタイム!」と叫ぶことでみんなの注意を引くこともある。
  • 隙間を埋めるため、ないしソロイストがハーモニーがわからなくなったときそれを教えてあげるように、リズミックだったりロングトーンだったりの伴奏フレーズを出すこともある。
  • こうした指揮をとる上では、他のプレイヤーの「足を踏んづけない〔邪魔をしない、機嫌を損ねない〕」ようにするのが大事。特にバンドリーダーじゃない場合は。リーダーがどんな風にして欲しいのか理解しておくべし。バンドリーダーが次と思ってる人じゃない人にソロを回したりとかしないように。

 今のジャズのセッションでもこういった流れを作る指揮のようなものは行われているけれど、ニューオーリンズのスタイルでも(1920年代当時とかからそうだったのかはよくわからないけど)同様のことをするのだな、というのがわかる。

 モダンジャズなスタイルだとトランペットに限らず、ソリストが引っ張っていくことが多いかな。ベースとドラムだけでアイコンタクトして仕掛けたりとかいうこともあったりするし、わりと流れを作る権利は平等にあるとは思うけど、まず誰がリードするかというと、ソリストかなというくらいの。

 ジャズで即興というと、どんなコードにどんな音を載せるか、どんなスケールが使えるかなどに(特に理論を考える上では)注目が集まりがちだけれど、こういう、その場のミュージシャン同士の相互作用やお客さんの反応を含めて、どういう流れに演奏・楽曲をもっていくかという部分も、即興の楽しみとして相当大きなウェイトを占めるものだよなー、と改めて思う。