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【鏡音リン・レン】ジェミニ【オリジナル】

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音楽 鏡音リン 鏡音レン Vocaloid DixieFlatline ジェミニ ProjectDIVA2nd収録曲 JOYSOUND交渉中 星のうた

レヴュー

鏡音リン・レンによる透明感あふれるグルーヴィなR&Bナンバー。曲の概要・歌詞などはニコニコ大百科が参考になります。本当に大好きな一曲で、久しぶりに聴いて言葉にするのがためらわれるくらい、ジーンと来ています。

サウンド

あまりに好きなのに自分ではうまくアナライズできないので、@sunshowerさんのブログ「コード進行で切る!最新J-POP!!最新洋楽!!」での企画に便乗して、コード進行の分析をしてもらったことがあります。というわけでコード進行についてはこちらをご参照ください。

浮遊感・透明感あるコードワークと共に、イントロのストリングス(とフルート?)のフレーズが全編で要所に登場して、統一感と独特の手触りを生んでいると思います。

ラップの後のサビなど、隠し味的につかわれている白玉*1系の鍵盤が目立たないけれどすごく盛り上げる効果があるように用いられてるのがさすが玄人という感じです。

リズムトラックも特別なことはしていないように聞こえるのに、とてもファンキーで腰に来る感じのグルーヴになっていますよね。ドラムの各楽器はどれも輪郭がはっきりしている上、聴く限りバックビートはスネアとクローズドリムショットとハンドクラップが重ねられているようです。

そうした強い音色をバランスよく鳴らした上で、ハイハットやスネアの16部音符のゴーストノートが、鳴っているかどうかわかるギリギリくらいの音量で入っていて、これがすごくファンキーな横揺れを生み出しているように思います。DTMに限らず、よいドラムのお手本のようですね。

歌詞

この曲をエモーショナルにしているのは、やはり詩のテーマだと思います。

双子、あるいはそれと同じくらいに互いを当然の・不可欠なものとしていた二人が、なんらかの理由で別れ――もしかしたら永遠の――を経験し、いまは離れて暮らしている。伝えられなかった思いはもちろんあって、それが身を焦がすこともある。どれだけ離れていても、それでもやはり、かつて過ごした時間の一回性と積み上げた関係によって、二人はつながっている。

およそこういうテーマだと思いますが、特にラップ・パートが鮮烈な印象を残しますね。

泣きやんだら歌おう愛の歌
歌えなかったいつかの愛の歌

手が届かないもどかしさ、伝えたい思いの切実さがぎゅっと詰まってるフレーズだとおもいます。

また、歌メロの譜割り的にもそれまでのシンプルな8分音符主体のものから、ラップ・パートはシンコペーションが聞いた16部音符主体にかわって対比が効いているうえ、先述した鍵盤の効果もあって、このあとのサビの盛り上がりがすごくエモーショナルです。そういうサウンドの効果が歌詞のフレーズの意味をより印象的にしているのだなと思います。

カバー

この曲はざにお(a.k.a パイパンP)さんによるカバーもあって、そちらも素晴らしいです。以上レヴューしたような「別離」を頭に入れつつ、まず

を聴いてから、こちら

を聴かれると、さらにグッと来ると思います。な〜り〜た〜♪

 ***

それにしても、こうしたパーソナルでありながら普遍的な情愛を歌う曲が聞けるのもVocaloid界隈の良いところですね。きっと、みなさんもお気に入りの思い入れのある曲があることでしょう。よかったらそうした思い入れをブログなどで言葉にしてみてください。

*1:和音を長く伸ばして弾くこと